「可能性を、自分で決めるな」——どん底から見えた、本当の使命
二年生の経営者が、今見ている景色
表面だけを見れば、清田氏はイケメンで、エネルギッシュで、順風満帆な起業家に映るかもしれない。しかし4回にわたるインタビューで明らかになったのは、その裏にある数えきれないほどの挫折と、そこから這い上がってきた人間の物語だった。
どん底を経験した清田氏は今、何を見ているのか。第5弾では、これからの未来について聞いた。
「第4章までの自分は、正直ちょっと赤い戦法でしたね」と清田氏は苦笑いしながら振り返る。情熱で走ることは大事だ。でも当時は、「100億円」という目標が先走りすぎていた。「これは100億になるか」「あれは金になるか」——そんな計算が、いつの間にか判断の基準になっていた。本来大切にしていたはずのものが、どこかへ押しやられていた。
足元にいてくれた人たちへ
嵐の中で気づいたことがある。数字が崩れ、信頼していた人間が去っていく中で、それでもそこにいてくれた人たちがいた。
「ついてきてくれた従業員がいたんですよね。その子たちを、ちゃんと大事にしたい」——清田氏の言葉は、シンプルだった。
今年から本格的に取り組み始めたのが、社員教育だ。外部の研修を導入し、社内でも独自の教育プログラムを整備し始めた。かつて「社会不適合者」と呼ばれかねなかった若者たちを育て、営業で結果を出させてきた清田氏が、今度は組織全体の人間力を底上げすることに力を注いでいる。
「僕もそうだけど、人間力ってどこまでも伸びるんですよ。それが大事だと改めて感じた」
さらに、多様化する時代に合わせた新しい事業の構想も始まっている。訪日外国人が急増する今、英語対応に特化した子ども向けサービスや、観光客向けの一時預かりサービスの展開も視野に入れている。「海外から来たご家族が、子どもを安心して預けられる場所」——放課後等デイサービスで培った福祉のノウハウを、新たな形で社会に届けようとしている。
2回、諦めようと思った
取材の中で、清田氏は静かにこう明かした。
「正直、2回ぐらい諦めようと思いました」
インターネットで情報が拡散され、金融機関から断られ続け、体重が20キロ近く落ちた時期のことだ。死を考えたわけではなく、「もう全部やめてしまおうか」という気持ちが、頭をよぎった。
しかしその経験があるからこそ、今清田氏が強く意識していることがある。SNSで叩かれ、ネット上に悪意ある情報を流され、心が折れそうになっている人たちへのメッセージを届けたい、ということだ。
「恋愛バラエティに出ていた方が、コメントを苦にして亡くなる。そういう話、リアルにあるじゃないですか」
有名人だから注目されるだけで、同じような苦しさを抱えている人は、世の中にもっとたくさんいる。部活の失敗かもしれない。仕事の挫折かもしれない。誰かの悪意ある言葉に、静かに傷ついている人がいる。
「僕のことを検索してネット記事を見てくれた人が、『こんなにひどい目に遭ってる人がいて、それでも諦めてないんだ』って思ってくれたらいい。諦めないでよ、俺もいるよって、それだけ伝えたいんです」
大変な時期を経て、今こうして表に出て話せるようになった。その経験が、誰かの「もう少し頑張ってみよう」につながるなら、それだけで十分だと清田氏は言う。
宇宙から見れば、ちっぽけな話だ
叩かれること、批判されること——清田氏はそれとの付き合い方についても、独自の視点を持つようになった。
「ある人に言われたんですよ。宇宙の目線で考えろって」
今自分が直面している問題も、日本という国のスケールで見れば小さく、世界で見ればさらに小さく、宇宙から見れば点にもならない。「200億人に叩かれても、宇宙に行けばいい」——極端な言い方ではあるけれど、その視点が心を楽にしてくれることは確かにある。
SNSの時代、誰もが批判に晒される可能性がある。全員に好かれる人間など、今の時代には存在しない。だったら、自分の言葉が届く人に届けばいい。「伝わる人に、伝わってもらえればいい」——清田氏はそう割り切ることを覚えた。
それは諦めではなく、本質への集中だ。
「あり方」が先、「やり方」は後
100億円という目標は、今も変わっていない。数か年のうちに達成するという意志も、揺らいでいない。しかし清田氏の中で、その目標の持つ意味が変わった。
「100億は、やり方なんです。本当のあり方は、福祉であり、人への貢献なんですよね」
かつては「100億円を達成すること」そのものが目的になっていた。それが先走ると、金になるものを探すだけになる。それに共鳴した人間が周りに集まり、本来の目的からずれていく。清田氏はそのサイクルを、身をもって体験した。
「あり方が上にあって、やり方は下にある。この順番を間違えると、全部狂っていく」
会社の理念も、改めて見直した。「みんなの可能性を超えよう」——シンプルだが、清田氏がたどり着いた言葉だ。
営業の目標数字も、人生の可能性も、「これくらいだろう」と自分で上限を決めてしまいがちだ。でも人は、自分が思っている以上のところへ行ける。その信念は、14歳で挫折してから今日まで、ずっと清田氏の根っこにあるものだ。
同じ船に乗りたい人へ
インタビューの最後、清田氏はこう言った。
「自分の可能性に革命を起こしたい人は、ぜひ声をかけてほしい」
営業が苦手でも、他の会社では「使いにくい」と言われても、清田氏のチームにはそういう人間がいつも集まってくる。そしてその人たちが、環境と教育によって変わっていく。それを清田氏は、ずっと見てきた。自分自身がそうだったから。
あるいは今、インターネットで叩かれていたり、挫折の中にいたり、自分に限界を決めてしまっていたりする人へ。清田氏の物語を読んで、「こんな人間でも、まだやってる」と思ってもらえれば、それだけでいいと言う。
「諦めないでよ。俺もいるから」
24歳で夢を語り始めた若者が、何度も転び、何度も立ち上がり、ようやく「本当の経営者の二年目」を歩んでいる。次の100億円への道のりは、今度こそ、正しい順番で進んでいく。
全5回にわたる清田氏インタビュー、ご愛読ありがとうございました。